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スーパーボウル目前【有馬隼人 インタビュー】


現地時間2月12日のスーパーボウルまで2週間と迫り、世界中のアメリカンフットボールファンの注目が頂点にのぼる中、世界中のあらゆる競技のスポーツベッティングを手掛けるPINNACLE(ピナクル)の日本でのプロモーションを手掛ける株式会社WASABIZが、アナウンサー・アメリカンフットボール指導者として活躍する有馬隼人さんに今回のスーパーボウルの見どころについて、PINNACLEファン代表としてお聞きしました。







スーパーボウル優勝はどのチーム?

  • 0%Eagles

  • 0%Chiefs


PINNACLE) 現在もアメリカンフットボールに関わり続けていらっしゃる有馬さんですが、簡単に有馬さんのフットボール人生について教えて頂けますでしょうか?


有馬) 高校1年生の時にアメリカンフットボールを始めました。もう30年も前のこと、1993年でしたね。当時は大阪に住んでいたのですが、テレビでは関西学生リーグや社会人の試合がいつも放送されていて、スポーツ新聞などにも大きく取り上げられていたので、アメリカンフットボールのことは常に気になっていました。スタジアムには何万人という多くの観客が入っていたので憧れがありましたね。大阪を中心に関西の高校にはアメリカンフットボール部が多く存在していて、私が受験する可能性があった高校には、私立公立ともに全てアメリカンフットボール部がありました。

大阪府立箕面(みのお)高校に入学して競技人生がスタートしました。しかし、私立の強豪高校には歯が立たないチームで、1~2年生の頃は試合に勝った記憶がほとんどありませんでした。そんな状況を何とか打破したいと思い、「3年生のときには強いチームを作ろう」と同級生たちと綿密な準備を進めていました。それが功を奏して、奇跡的な勝利を数多く経験し、連勝連勝の日々を過ごし、全国ベスト4まで勝ち進むことができました。夢のような日々でした。



PINNACLE) 漫画のようなお話ですね。


有馬) その経験が、今の私をアメリカンフットボールの世界に強く引き込んでいるのです。関西学院大学でもアメリカンフットボールを続け、4年間で2度の日本一を達成することが出

来ました。子供のころテレビで見ていたような、大きなスタジアムに詰めかけた数万人の観衆からの視線を浴びながらプレーできたことは、掛け替えのない財産になりました。アメリカンフットボールを始めたころから考えると、想像さえもできないような幸せな瞬間を幾度も享受させてもらえたのは幸せでしたね。



PINNACLE) しかも、有馬さんはQBという試合での注目度が非常に高いポジションですよね。その学生生活の後に、アナウンサーの道に進まれたのでしょうか?


有馬) 大学を卒業して、アナウンサーとして東京のテレビ局に就職をしました。アメリカンフットボールの競技者としてはピリオドを打ったつもりでしたが、3年後に選手として復帰し、その後10年間ほどプレーヤーとして日本一を目指し続けました。現在は日本社会人リーグ(Xリーグ)のチームでコーチをしています。若い選手たちには達成感のある気持ちいい瞬間を数多く味わってほしいという願いのもと日々を過ごしています。




PINNACLE) 社会人になられた後に、退職してまでプレイヤーとして戻られたんですね。アメリカンフットボールという競技の魅力を物語っていると思います。

さて、アメリカンフットボールといえばスーパーボウルだと思いますが、今年は出場者がイーグルスとチーフスに決まりました。PINNACLEプレイヤーに見どころを教えて頂けますでしょうか。

有馬) レギュラーシーズンで最も成績の良かった2チーム(ともに14勝3敗)が、プレイオフでも負けずにスーパーボウルに進出しましたね。

少しは番狂わせがあるかなと考えていましたが、両チームとも流石の強さでした。


チーフスは最近の4年で3回目のスーパーボウル出場です。今シーズンは開幕前にWR(ワイドレシーバー)のタイリーク・ヒルというチーム最速の武器を移籍のため失って、攻撃力の低下が懸念されたので、実はチーフスの前評判は下がっていたんですよね。しかしながら、その懸念は杞憂に過ぎず、これまで以上に周辺のタレントが生かされるという形で、結果としてチームの総合力が上がりました。主力メンバーが抜けて戦力の変動があってもチームの強さが維持されるということは、フロントを含めた組織の形成が常に安定的に行えている証拠なんでしょうね。ヘッドコーチのアンディ・リードはNFLでのコーチ歴が30年を超える大ベテランの指揮官でキャリアは充分です。常に先進的で斬新な攻撃スタイルで高い勝率を維持してきた名将です。その名将のもとで3年前にスーパーボウル優勝したときのMVPを獲得したエースQB(クォーターバック)パトリック・マホームズがチームに君臨している間は”チーフス王朝”が続くのかもしれません。マホームズはまだ27歳ですが、経験値も難局の突破力も申し分ないほどに身に着けています。ただ、プレイオフの初戦(1月22日)で負傷した右足首の痛みを抱えてのプレーが続いていて、どの程度スーパーボウルまでの時間で回復ができるかが大きなキーポイントになりそうです。


イーグルスは5年前のスーパーボウルで初優勝して以来の出場です。その頃からは体制も変わり、メンバーも大きく入れ替わっているので、全く新しいイーグルスと考えていいでしょうね。さらに歴史をさかのぼるとイーグルスは18年前のスーパーボウルにも出場しました。実はその時のヘッドコーチが、今回の対戦相手となるチーフスのヘッドコーチであるアンディ・リードでした。リードは1999年から12年間の長期に渡ってイーグルスを率いていました。なので、いまでもフィラデルフィア(イーグルス)の顔だという記憶が強く残っているファンが多いですね。もうチーフスで11年になるので、さすがに若い人たちにはチーフスの赤色が定着しているでしょうけど、NFLファン歴の長い人にとってはイーグルスの緑色の印象が強かったりします。イーグルスのときも勝率が高かったからでしょうね。なので、今回のスーパーボウルは、アンディ・リードの名前を取って「リードボウル」とも呼ばれています。

現在のイーグルスは就任2年目の若い(41歳)ニック・シリアニがヘッドコーチを務めています。就任前には地区で最下位になるまでに低迷してしまっていたチームを急速に立て直しました。攻撃の司令塔としては、それまで控え選手となっていたQBジェイレン・ハーツをエースとして起用して盤石のチーム作りを実現してきました。マホームズよりも更に若い24歳のハーツも、レギュラーシーズン終盤に肩を捻挫するというケガに見舞われましたが、プレイオフ戦線から復帰して100%の状態に戻っているように見えるので心配は無用でしょう。


見どころについてですが、最も単純に捉えるならば、双方の攻撃の中心となるQBでしょうね。マホームズとハーツ、どちらもパス攻撃がしっかり遂行できて、自らボールを持って走ることにも非常に長けている選手です。もちろんスーパーボウルでの対戦は最高峰の激しいバトルになりますから、投げて走って大車輪の活躍をすることになると思います。そんな中で、QBの第一の仕事であるパスが順調に機能して、自ら走るシーンがあまり必要なくなった場合は、すなわちチームが優勢に試合を進められているということになりますから、特に試合の前半あたりでは「QBがどれくらい走らされているか」を見てもらえるといいかもしれないですね。優勢に立って、試合の後半から終盤にかけて、満を持してQBが走り始めるという展開になっていたら、そのチームが勝つことになるでしょう。もちろん、序盤から一進一退の展開で、両QBが消耗しつつも走り回るという状況も充分に想定できます。そう考えると、チーフスのマホームズの足首の回復具合が相当なポイントになると言えますね。



<注目の選手>

「リードボウル」と呼ばれる今回のスーパーボウルですが、もうひとつの別称があります。それは「ケルシーボウル」です。チーフスのパス攻撃の要であるTE(タイトエンド)トラビス・ケルシーと、その2つ年上の兄であるイーグルスの屋台骨を支えるC(センター)ジェイソン・ケルシーが対決することになるからです。どちらも攻撃陣で活躍する選手なので、直接に対峙することはありませんが、スーパーボウルで兄弟同士の対戦となるのは非常に珍しいことなので、かなりの注目を集めていますね。

チーフスのトラビス・ケルシーはチームで最もパスの捕球回数が多くタッチダウンの数も最多です。必ずボールが飛んできますので、ぜひ背番号87がどこにいるのかを常に見ていただくといいかなと思いますね。対してイーグルスのジェイソン・ケルシーはOL(オフェンスライン)の真ん中に位置するポジションです。パス攻撃の時はQBがパスを投げられるように守ったり、ラン攻撃の時は相手のディフェンスが味方をタックル出来ないように身を呈してブロックする役目であるOLのリーダーです。プレーが開始するときにボールをQBに渡す以外は決してボールを持つことがないので目立つことはありませんが、まさに立役者といえる極めて重要な役割を務めています。背番号62が献身的な活躍をしている姿を見て確認することが出来れば、あなたもフットボール通の仲間入りですね。

このケルシー兄弟、弟のトラビスはチーフスひとすじ11年、兄のジェイソンはイーグルスひとすじ13年。どちらもチームへのロイヤリティが強く、フランチャイズの顔になっているのがまた大きな魅力のひとつなんです。だから、今回たまたま「ケルシーボウル」になったのではなく、まさに運命的なワンダフル感が半端ないんですよ。


PINNACLE) 今、全米で最も注目されている兄弟と言っても過言ではないでしょね。勝敗の明暗を分けるQBに関しては、先日イーグルスに負けてしまった49ersのブロック・パーディの活躍が異彩を放っていたというお話を聞きました。

有馬) ブロック・パーディはシーズン途中から先発メンバーに入ったのですが、3番手の選手だったので今シーズンは出番が回ってくる可能性が極めて低い選手でした。ドラフト会議では最後の最後まで指名されず諦めかけていたのですが、ドラフト終了間際に、まさに最後の最後の262人目に指名された選手です。そんな選手に(エースや2番手の選手にケガがあったことで)出番が回ってきたんです。それだけでも奇跡的なことですが、なんと彼が試合に出るようになってから勝率は10割なんです。QBといえば野球でいうと投手のようなものですから、いま起きていることが如何に驚異的であるかがお分かりいただけると思います。スーパーボウル出場、さらには勝利ということになれば、これ以上のシンデレラストーリーはありませんね。



PINNACLE) 有馬さんの高校時代のお話も漫画のようなお話でしたが、世界トップクラスのアスリートがデータを駆使して緻密なプレイをしているNFLの世界にもそんなことがありえるんですね。 これからアメリカンフットボールを観戦したいという方からすると、スーパーボウルでNFLを見始めて、さらにNCAAというアメリカンフットボールの世界を知っていく方も少なくないと思います。それぞれの違いや楽しみ方を教えて頂けますでしょうか。


有馬) スーパーボウルは、世界一のスポーツイベントです。世界的な注目度や、広告費などの金額も桁違いです。ハーフタイムショーには世界中で人気を博すアーティストが登場しますし、スポーツの領域を卓越したエンターテイメントショーと言うことが出来ます。NFLには間違いなく世界最高峰の身体能力を持ったアスリートが集まっています。学生時代には野球やバスケットボール、陸上競技などで第一線の活躍をした選手たちがアメリカンフットボールを選択しNFLにやってきます。競技のルールが分からないという人でも、見ればすぐにエキサイティングな時間を過ごせるのではないでしょうか。できれば最初はアメリカンフットボールを知っている人と一緒に見て頂きたいですけどね。

対して、NCAA(全米体育協会)のアメリカンフットボールも信じられないほどの人気で、熱狂度でいえばNFL以上とも言えます。人気の高い大学が登場する試合では、会場に集まる観衆やテレビを視聴する人数がNFLを上回ります。市場としても途轍もなく大きくて、1試合で何十億円というお金が動きます。将来のNFLスター選手がいるのはもちろんのこと、国土の広いアメリカでは、大学スポーツは地域性が色濃いため、ファンの熱量は想像を絶する世界です。そんな環境でプレーする選手たちは、成熟しているといえども学生です。プロであるNFLに比べると、試合の流れが変わりやすかったり、あり得ないようなビッグプレーが飛び出しやすいのも大きな魅力であると思いますね。



PINNACLE) アメリカという国の規模の大きさを感じるお話ですね。日本の甲子園や大学駅伝も学生スポーツとしては注目度が非常に高いですが、それよりも一層国民の注目度が高いといった感じでしょうか。それでは最後に、PINNACLEプレイヤーにメッセージを頂けますでしょうか。



有馬) とにかくアメリカンフットボールの魅力に触れていただく、その機会を作って多くの皆さんに楽しんでいただきたいです。

私はテレビでは試合中継の解説者を務めたり、ときにはアナウンサーとして実況を担当しています。見て頂ければ幸いです。

日本国内の試合については、ぜひ試合会場に足を運んでもらいたいですね。間近で見るアメリカンフットボールは、日常には決して存在しない刺激を味わわせてくれるはずです。



PINNACLE) 本日はありがとうございました。NFLやNCAAでアメリカンフットボールに興味を持った日本のファンは、日本でもアメリカンフットボールを観戦できるんですね。私も是非、有馬さんの解説付きで観戦したいです!



有馬隼人

1977年広島県生まれ

大阪府立箕面高等学校在学中にアメリカンフットボールを始め、QBとして活躍。

関西学院大学商学部進学後には二度の日本一に輝いた。

卒業後はTBSにアナウンサーとして入社したものの、アメリカンフットボールへの情熱を捨て切れず一般企業に転職し、日本一を目指してプレイヤーとして活躍。

現在は、アナウンサーとしての顔も持ちつつ、Xリーグのアサヒビールシルバースターではヘッドコーチとして指揮を執っている。



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