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ホーム開幕3連戦レポート


男子日本代表が2024パリ五輪自力出場を決めた直後のBリーグ開幕。過去例をみない盛り上がりを感じる中、光栄にも中継解説で、3週連続でそれぞれのホーム開幕戦を体験する機会がありました。ゲーム内容というより、各地でのバスケの盛り上がりについてレポートさせていただきます。


 

■宇都宮ブレックスホーム開幕戦

・10/7, 8 宇都宮ー群馬

・会場:日環アリーナ栃木 ・Game1 入場者数5626人 ・Game2 入場者数:5654人(新記録)


ブレックスネイションが聖地とよぶブレックスアリーナ宇都宮(市施設)ではなく、とちぎ国体2022に合わせて、2021年竣工した日環アリーナ栃木(県施設)で開幕。下記の過去最多入場者数記録の通り、ブレアリより日環アリーナ栃のほうが席数が多く、Bプレミアの要求水準である平均4000人以上の入場者数達成のため、日環アリーナ栃木開催が昨シーズンから増えているブレックス。 ■宇都宮ブレックス1試合最多入場者数 ・日環アリーナ栃木:2023年5月7日

宇都宮ー千葉J 5425人(開幕節以前) ・ブレックスアリーナ宇都宮:2020年2月9日

宇都宮ー川崎 4740人

■日本代表を送り出す意味 パリ五輪出場の立役者、比江島選手、佐々HCの紹介の際、立ち見まででた満員の観客から労いの大歓声。チームから日本代表がでることの意味。県民の誇りを体感しました。開幕戦ならではのグッズ売場の大行列。新グッズを早く手に入れたいというより、選手グッズを身に着けている姿を選手本人に見せて、頑張る気持ちを引き出す。ファンなりの勝つための作戦だと理解しました。

■ブレックスを理由に県外から移住 会場で声を掛けてくださったブレックスファンが「応援するために毎週ホームに通っていたが、ついに宇都宮に移住しちゃった。てへ。」と、びっくりエピソードを聞かせてくれました。全国のBリーグファン・ブースターの皆様。実はこんなブレックス移住ストーリーを聞くのは初めてではありません。私だけでもシーズンに一組は自己申告の方に出会っています。2007年ブレックス創設ですので、井口概算で約20組弱が栃木県に移住済みという計算で、ブレックス移住助成金があってもおかしくないレベル。仮にあったとしても、きっと全額ブレックスを通じて地域に還元される方々ばかりですので、ブレックス移住助成金制度は理にかなっているといえるでしょう。


 

■富山グラウジーズホーム開幕戦

・10/14,15 富山ー長崎

・会場:富山市総合体育館 ・Game1 入場者数:5151人 ・Game2 入場者数:4034人 富山県出身・馬場雄大選手の凱旋試合という事もあり、早々に完売御礼が出ていました。土日で入場者数に1000人超の開きがあった事について、球団は翌日に声明を発表。私は両日会場にいましたが、4000人オーバーの迫力のせいで、正直空席がほとんど気になりませんでした。ただ関係者への取材を統合すると、スポンサーメリットとして提供している席を、満員の混雑で来場を避けた方も一部いただろうと想像します。提供席はスポンサーの権利としてお渡ししている席であり、長年活用してくださるスポンサーも多いはず。私もスポンサー営業をしてきた経験から、簡単に再販しにくい事情はよく分かります。とくに長年スポンサー継続してきてくれたパートナーさんに、回数券の使用方法やスポンサー提供席数の見極めをするとは、なかなか言いだせません。入場者数が増えている状況をきっかけに、露出拡大がスポンサーメリットになっています!と理解いただける流れになればいいと願っています。 チケット完売も空席…「忸怩たる思い」B1富山グラウジーズ社長が声明 | バスケットボールキング (basketballking.jp)

■富山グラウジーズ1試合最多入場者数

・富山市総合体育館:2017年5月3日

富山ー川崎 5545人

ちなみにこの記録はコロナ以前であり、席数や立ち見制限の観点からも記録更新は難しいだろうと思っています。今回開幕戦で達成した5151人をBリーグ記録と思っていればいいのではと個人的には思います。

■馬場選手Bリーグ復帰の影響 馬場選手はNBA挑戦の継続を明言していますので、いつまでも日本で見られるとは限りません。2005年創設という歴史のあるチームですので、県内でグラウジーズの名前をいっさい聞いたことがない、という人は多くないはずですが、明らかに初観戦だろうという来場者を多くみかけました。地元出身選手が国内最高峰で戦っているという価値について、もう一度見直したいと思いました。知っていて当然だし、いつも伝えているし当たり前だよ。という伝えた「つもり」、広めた「つもり」。ナチュラル「つもり」に気をつけよう。


■もう一度、地域密着を叫ぶチームがあってもいいんじゃないか

いつもは熱心な記者さんが目立つ記者会見場も、在京メディアも多数訪れ混雑していました。全国のスポーツニュースで取り上げてもらえたようです。試合を会場で観た方が、夜のテレビでまたその試合のニュースが観られるなんて、2005年創設時に想像していた方はいないと思います。初めての観戦体験をした方々がブースターへ。子供たちがいつか選手へ。Bリーグ全体に大手資本参画が進む中、あえていま地域密着の熱量を叫ぶ、暑苦しいチームがあってもいいんじゃないかと感じました。


 

■横浜ビー・コルセアーズホーム開幕

・10/21,22 横浜BCー琉球

・会場:横浜国際プール ・Game1 入場者数:5116人(新記録) ・Game2 入場者数:4844人


■激しいチケット争奪戦

ビーコルブースターが3週目まで待ちに待ったホーム開幕戦は、昨シーズンのチャンピオン琉球と。キングスブースターも多数訪れていました。なんといってもコート上でもコート外でも数字を持つ男・河村勇輝選手みたさに、初日で最多入場者記録を更新。今シーズンのビーコルブースターは試合はもちろん、ホームのチケット争奪戦でも戦う事になりそうです。シーズンパスやブースタークラブの重要性は他クラブも参考になるでしょう。これまで横浜国際プールではプラ製パネル式の床材で試合を行ってきていましたが、今シーズンから変更した木製のユニットタイプの床材のお披露目でもありました。

■河村勇輝シフトの重要性

下記の国プ以外の会場の最多入場者レコード、とくに日付を見てもらうと、いかにいまビーコルが全国から注目を浴びている、大事な時期を過ごしているかが分かります。けして安価ではない&設営費が試合のたびにかかるであろう、木床ユニットタイプの変更に踏み切るなど、急激な周りの変化に球団全体で挑んでいるのを感じました。記者会見場はメディアで満員。コートエンドに陣取るカメラクルーもフル。今までにない変化や想定していなかった事に、みんなで乗り越える時期なのかもしれません。


■横浜BCホーム1試合最多入場者数

・横浜国際プール:2023年10月21日

横浜BCー琉球 5116人

・横浜文化体育館:2016年9月24日

横浜ーSR渋谷 3297人

・トッケイセキュリティ平塚総合体育館:2020年1月22日

横浜ー川崎 2704人

■他チームも参考にしたい対応

開幕から3試合、多くの方が観やすいようにと高さを上げていたであろう、得点板の配置の影響により、一部の2階席でコートが見えない事象が起きていました。開幕2試合会場にいましたが、会場の熱気で不満の声が上がっている事に全く気付けませんでした。私も会場設営を何年もしてきたので、電動得点版を台のうえにあげたことは何百回もあります。試合序盤はいいのですが、クロスゲームで盛り上がると、瞬間的に観客が立つことはおきえます。そうなっても多くの方に得点版が見えるように、台のうえに上げ、見えやすくする対応はいまも多くの会場で行っている作業です。言い訳にしかなりませんが、かなり重く、男2、3人ではあがりませんので、設営の最後に人数を集めて「せーのっ!」であげる締めの作業です。私は正直「これでみんな試合が見れる!」と思って作業していました。せっかくの機会に観戦いただけなかった方の気持ちを思うと、視認性の配慮が足りなかったにつきると思いますが、良かったらまた試合に足を運んでいただきたいと願うばかりです。今回の事象は、他会場で今後発生する可能性はゼロではないかもしれませんので、今回の対応を各球団が生かしてしてくれるはずです。


 

■ブームじゃない。カルチャーにしよう。

このように3週にわたりホーム開幕戦を体感すると、色々な学びの機会がありました。私が気付いていない事象もいっぱいあると思います。日本代表が導いてくれたパリ五輪自力出場の盛り上がりを、ブームにしないために自分たちには何ができるか。きっと一瞬じゃないんだと思います。ずっと続けてきたから今もチームがあり、いまの盛り上がりがある。じゃあやっぱりスタンダードをあげたホームを続けていくしかないんですかね!

ひとりじゃできない事ばかりだな!と思ったけれど、ひとりがやらないと始まらない事ばかりだな!と思うようにします。みなさんのマイチームが今シーズンもケガなくグッドシーズンになりますように!       写真:筆者撮影



バスケットボールコメンテーター

井口 基史(イグチ モトフミ)

1979年生まれ/鹿児島県出身

座右の銘「一緒に日本のバスケを熱くしよう」


鹿児島南高-愛知学泉大-カリフォルニア州立大ベーカーズフィールド校-ベーカーズフィールドカレッジ出身。アメリカ留学後にFIBA国際代理人資格をアジア初の受験取得。国内プロリーグ発足後まもなく資格を返納しチームスタッフへ。富山-滋賀-岩手-大阪でスカウト/通訳/GM/スポンサー営業/球団社長を経験。現在はユース・プロ・日本代表までバスケットボール中継で熱量高めの解説を務める。



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